法人カードの金融事故では誰のクレヒスに傷がつく?

クレジットカードヒストリーのことを「クレヒス」と略しますが、要は、これまでのクレジットカードの利用状況を記録した履歴のことです。支払いの延滞や滞納などの金融事故があるとクレヒスに傷が付くわけですが、法人カードの場合、個人向けクレジットカードと違って法人で契約しているため、誰に影響が及ぶのかがよくわからないという方も少なくないでしょう。

法人カードでは追加カードを発行して社員に所持させることもあります。しかし、誰のクレヒスに影響があるのかわかっていないと、社員を不安にさせてしまいかねません。そこで、法人カードで金融事故を起こした場合、誰が責任を問われるのかについてまとめました。

個人向け・法人向けにかかわらず、クレジットカードの利用状況によって、カード会社から高評価を受けたり低評価を受けたりします。毎月滞りなく返済していれば高評価を受け、延滞や滞納など信用を欠く行為をすると低評価を受けるわけです。また、延滞や滞納がなくても、まったくカードを利用していないと低評価になってしまいます。カード会社の評価を高めるには、定期的に使用しつつ、延滞や滞納を起こさないことが大切です。

金融事故を起こすと、その情報はクレヒスの傷として記録されてしまいます。その情報は信用情報機関に登録され、金融機関は新たな申し込みがあった時にその人のクレヒスを調べることができるのです。そのため、クレヒスに傷があるとクレジットカードやローンの審査が通りにくくなってしまいます。

個人向けのカードでは、何かあった時の責任は、当然、所有者であるその個人にかかってきます。法人カードの場合も同様に責任を問われるのはその所有者です。法人カードの所有者とは、それを契約した法人の代表者であり、そのことはカード会社の利用規約にも記載されています。一切の責任は代表者が連帯して負わなければならないのです。

つまり、社員の持つ追加カードで延滞や督促があっても、その責任は、それを所有する社員個人にはなく、全体の責任者である法人代表者が負わなければなりません。ただし、同意のうえで社員が連帯保証人となっている場合は、その社員個人のクレヒスに傷が付きます。

クレヒスの情報は信用情報機関に最長5年程度記録され、その間に新たなカードやローンの申し込みをしても、高い確率で審査に通らなくなります。一度登録された情報は信用情報機関の保有期間が終わらないことには消すことができないため、法人カードを作る際は、追加カードも含めて代表者がしっかり管理することが大切です。

では、すでにクレヒスに傷のある人は法人カードに申し込めないということでしょうか。残念ながら審査を通過する可能性は極めて低いと言えるでしょう。法人カードの場合、審査ではその企業の設立年数や経営状況が重視されますが、申込者本人の信用情報も極めて重要な審査基準となります。個人の支出と会社の支出は違うといっても、やはりその代表たる本人のクレヒスに傷があっては、カード会社も簡単に審査を通すわけにはいかないのです。

しかし、クレヒスに傷があると絶対に法人カードを作れないというわけではありません。実際、クレヒスに問題がありながら法人カードが作れたという口コミもあります。法人カードの審査基準はカード会社によって異なるため、場合によっては個人のクレヒスをそれほど重視しないということもあるのでしょう。

たとえば、「オリコ EX Gold for Biz」は比較的審査が甘いと言われており、クレヒスに問題ありの人でも発行できたという声が聞かれます。ご自分のクレヒスに問題がある方は、こういう審査が甘いと言われる法人カードに申し込むのが一つの方法でしょう。ただし、絶対に大丈夫というわけではないので、クレヒスに傷があると法人カードを作るのが難しくなることは知っておいてください。